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伊豆ー柳生の庄

伊豆、修善寺温泉にある「柳生の庄」という名旅館に宿泊してきました。

この旅館、おもてなしやお料理はもちろんとても素晴らしいのですが、私のお目当てはやはり建築!

伝統的な数寄屋建築のデザインを堪能でき、さらに平成21年から大規模な改修工事が行われており

大工だけではなく、左官工事にもかなりの力を入れています。

道路から見ると建物はまったく見えず、気づかずに通り過ぎました(笑)

改修工事に要した左官職人は60日で延べ1300人工!近頃ではそうそうない大事業で、建築業界では話題になったほどです。

世界的にも有名な淡路島の左官職人「久住章」氏を筆頭に、全国から腕利きの左官職人を集め、本格派数寄屋建築に求め

られる究極の左官仕上げ、左官の技を見事に表現し、左官の真髄を究めております。

道路~建物までのアプローチ。車で中まで入っていけます。

モミジの木々が折り重なるようにお出迎え。奥には木々と溶け込むよう高さを押さえた玄関が見えています。

主張することなく目立たず控えめ、簡素な雰囲気ですが堂々とした造りです。屋根がカッコイイですね~

中に入ると、ほの暗い玄関。土間には敷瓦が敷かれていました。

そして、正面に見える「お迎えの間」に入ってビックリ!

て、て、天井がカッコよすぎる!!

なんともいえず心地よい勾配の舟底天井。写真では伝わりにくいと思いますが、

入った瞬間の圧倒的な天井の存在感、素材感、空気感・・・。凄まじいエネルギーを感じ、しばし呆然と

立ちつくしてしまいました。本物だけが持ちえる素材が放つエネルギー。この空気感を感じることこそが、

今回の最大の目的でした。本当に鳥肌が立ちました。

この部屋の隣には「取り次ぎの間」

お庭が見え、癒されます。そしてここからロビーへ行くと、またまたビックリ!!

うひょー。天井!天井!低いところで1.8mほどしかない通常よりかなり低い天井ですが

(Myメジャー持参で実測しました)圧迫感はまったく感じず、どっしりと落ち着きます。

錆丸太+竹+杉板で構成されており、何層にも重なる厚みのある素材がすごい迫力で迫っ

てきて、こんなにも渋カッコイイ空間はお茶室を見たとき以来の感覚でした。

この独特の空気感。。私も早くこのレベルまで到達したいです。壁の詳細↓

よく見るとこの壁、茶色い点々が無数に見えます。汚れているのではなく「ホタル壁」「錆壁」と言われる

左官仕上げの手法でして、醤油につけた鉄粉を混ぜてから塗ると、後から赤錆が浮かびあがってくるというものです。

ただこの壁、なかなか同じ色にならないそうで、同じように塗っているのに白くなったり、最初は同じ色なのに、

数週間後に見に行くと色が変わっていたり。。と、かなりの職人技が必要だそうです。

マニアックな左官を語る会というHPから、この壁のレシピを発見しました♪

[レシピ]
淡路浅黄土(5厘) 100g
淡路黄中土(5厘) 100g
珪砂(6号) 170g
つのまた 3g
中内ヒダシ(さびき) 10g
江井中スサ(飛び出し) 0.5g
醤油 100cc
鉄 1g

本当に醤油が入っている!!お料理のレシピみたいですね(笑)

ひとつの錆が二重になって広がる仕上がりは、浅黄土にのみ出る錆だそうで、

なかなかお目にかかれない超美技の世界です。

こちらはお風呂場に行く途中の廊下。

床と階段は左官の研ぎ出し仕上げ。優しい風合いで裸足で歩きたくなる感覚でした。

この廊下、片側は木製のガラス戸がついていますが、もう片側には何もなく屋外と繋がっており

中のような外のような不思議な空間となっていました。

お風呂上りにここでくつろげるよう腰掛ベンチが設置されているなど、粋な設えとなっていました。

離れに向かう屋外廊下。

このくねくねと曲がった和風建築特有の奥ゆかしさを感じるアプローチ手法。わざと先を見通せない

ように作られており、景色を楽しみながら移動していきます。この感覚、大好きです~

さて本当は、この露天風呂付客室に泊まりたかったのですが・・・

今回は日にちが合わない&高額料金で断念しました。

この黒光りした浴槽、左官仕上げです!黒の掻き落とし・研ぎ出し仕上げ。

美し過ぎる空間。。写真だけでも見惚れてしまいます。

美味しいお料理も♪お金を貯めて再来したいと思います。