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和歌山-御橋廊下と茶室「紅松庵」

最近、急に暖かくなってきたこともあり、週末になると建築見学に出掛ける機会が多くなりました。

今回は和歌山城へ。敷地内の庭園に架かる『御橋廊下(おはしろうか)』

屋根のある橋というか廊下は初めて見ました。しかも斜め!

御橋廊下は、藩主とお付きの人だけが二之丸と西之丸を行き来するために架けられていた橋で

屋根を設け、外から見えないように作られたそうで、全国的にも珍しい構造で作られています。

内部はこんな感じ。思っていたより明るく、廊下にしては凝った造りでした。

注目したいのは床!急勾配で斜めになっているため、滑らないよう細かな段差がたくさんついていました。

なるほど~と納得のディテール。足触りが面白く、何度も行き来しましたがまったく滑らず安全◎

窓もたくさんついており、ガラスはなく雨戸と障子だけの造りでした。

よーく見てみると、敷居にきちんと水が抜けるよう溝が掘ってあり、建物を長く持たせるためには、

こういった細かな気配りが大切なんだと、改めて感心しました。

紅葉渓庭園内にあるお茶室『紅松庵(こうしょうあん)』

松下幸之助氏が寄贈し、紅葉渓の「紅」と松下氏の「松」をとって命名されたそうです。

施工は数寄屋建築の名工、中村外二氏。お茶室と言えば、やはり外二さんですね~

窓廻りがとーっても粋なデザインで仕上げられていました。

シンプルな空間に、ここだけ遊び心を加えた感じがとても好印象。上品なセンスを感じました。

窓廻り拡大。上枠だけ黒く塗装してあり、引き締まりますね~

そして天井。かなり大柄の網代張りでスゴイ迫力!ここまで大きいのは初めてです。

よーく見てみると、網代1マスの大きさに合わせて、空調の吹き出し口が嵌め込まれていました。

茶室建築には珍しく冷暖房がきちんと完備されており・・・さすが松下幸之助、さすがPanasonic(笑)

簡素で落ち着いたお茶室。この静かな空気感、とても大好きです。

入口足元廻りのディテール。

柱の下には『根石』という柱を受けるための石があるのですが、引戸を閉めた際、戸がこの石に当たるよなぁ~と

常々気になっていたのですが、実物を見て納得!石を掘り込むのか~と。。

以前見た万博公園のお茶室でも同じ納まりになっていました。やはり実物を見るととても勉強になります。

最後は、やはりこれ。大好きな軒下空間

なんでこんなにも心惹かれるのだろう・・1日中この下でボーッとお庭を見ていられるぐらい大好きな空間です。