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万博公園ー茶室「汎庵」「万里庵」
先日、岡本太郎作「太陽の塔」で有名な万博記念公園へ行ってきました。公園北部に位置する日本庭園内に
普段は非公開の茶室「汎庵」と「万里庵」がありまして、今の時期(桜まつり)と秋の紅葉まつりの時期と
年に2回だけ特別公開をしています。先端が薄く水平方向に伸びる屋根ラインは、美しい!の一言です。
このお茶室何がスゴイかと言いますと、どちらも数寄屋建築の名工とされる中村外二氏が設計施工にたずさわっており
大工だけでなく、瓦葺き・左官・建具・指物職人等、数々の凄腕職人を一堂に集め、このお茶室を建設したそうです。
今となっては、ここまでの技術を持った職人を集めることは不可能だそうで、外二建築を堪能できる貴重な建物です。
待合スペース。絞り丸太や竹を使った軒裏はやはり美しい。
軒先はとーっても低く1.9mぐらいでした。この低さや材の細さ加減がとても可愛く、真似できそうでなかなか
できない絶妙なプロポーション。何も考えずに設計すると、どうしても太く野暮ったくなってしまいます。自分で
図面を描いてみて初めて気づくのですが、想像以上に細い!のです。
桁を受ける腕木も自然に曲がった木を使用しており、何気なく支えている感じで主張し過ぎずカワイイ~
そしてお庭。
フカフカの苔とモミジの木で構成されているのですが、今の時期はまだ枯れ枝状態でした。
紅葉の季節は、こんなにも美しい!
1日中眺めていても飽きることのない、素晴らしい景色です。次回は是非秋に行きたい・・・
苔と一体になった石畳みも、時間の経過を感じとれ風情がありますね~
蹲踞はどこかの建物で使われていた礎石(建物の柱を受ける土台石)を利用したもので、外二氏が所有していたそうです。
大好きな軒下空間と立礼席のあるお茶室。いつかこの瀟洒な造りの軒下空間を設計したいと夢を膨らませています。
立礼席内部の天井は檜の網代張り、床は信楽焼の窯の中で使っていた陶板を敷いているそうで、味わい深く寂れた
雰囲気が建物とピッタリ合っていました。
ちなみにこの茶室「汎庵」の扁額、当時の首相だった佐藤栄作氏の直筆だそうです。
命名したのも佐藤氏。
名工によって造り上げられた建築は、プロポーションだけでなく、その場の空気感までもが美しい。。
言葉では説明できないこの独特の雰囲気。これをいかに設計に取り込み、表現していけるか。
身体に寸法感覚を覚えこませるため、建築探訪はこれからも続きます!