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おぎたに~美しいひと手間~
昨年9月にオープンした割烹料理『おぎたに』
1~2ヶ月に1回ぐらいのペースでお店に行く機会があり、季節を感じるおもてなしの数々に、毎回驚きと
ともに至福の時間を過ごしています。とても手のこんだ美しいお料理。
毎月メニューが変わりますが、1品1品本当に手間暇をかけて作られています。
小さな器の中に入っているこの1品のために、炭をおこし、お出汁をとり、タレを作り、薬味を切り、
美しく盛り付ける。カウンターに座りお酒を飲みながら、この1連の流れを目の前で見ることができ
こんなにも贅沢な時間はないなぁ~と、しばし現実を忘れ酔いしれてしまいます。
下準備だけでも相当の時間がかかっているのが、見ていてわかります。
作っている過程を間近で見れると、食べたときに美味しさが倍増するのと、あっ!こんな食材を使っている
んだ、これはこういうふうに切るのか!等々、発見することもたくさんあり、それに加え亭主と食材の話を
するのが昔から大好きで、食べに行くと必ずカウンターを指定して座っていました。
カウンターって本当にいいですよね~。もの造りの現場を目の前で見れる楽しさがある。
昔から大好きだった『食』への憧れと楽しみが、店舗設計という形で空間が実現し、自身がデザイン
した空間で美味しい料理を食べることができる。『おぎたに』の亭主には本当に感謝しています。
メインのカウンターはアサメラの1枚板。原木は下の写真。
材木屋さんには、加工前の木がずらり並び一見するとこれ使えるの!?というぐらい汚らしく見える。。
この状態の木を見て買うか買わないか、さぁどうする!と選ばないといけないのです。一般の方には中々難しい判断と
なるため、こちらは一任していただき決めました。設計者は図面だけ描いていればいいというのではなく、木の目利きも
ある程度できないと務まりません。
こちらは客席後ろの収納棚天板に使ったケヤキの板。
こちらはまだ見た目が綺麗なので、わかりやすいですね。ただ、下に収納の箱が取り付くため、あまりに曲っていると
納まりがおかしくなるので、どちらが綺麗に見えるか等、大工さんと一緒に寸法を出しながら検討しました。
家具屋さんなどに行くと、綺麗に製材された木の板が売っていますが、いつも値段を見てビックリします。
たしかに見た目は綺麗だけど、お値段高い!!
『おぎたに』のメインカウンターに使用したアサメラの1枚板は、原木で長さ7m、幅1mもあったため、
カウンターをとってもまだ余る。余った材料でトイレの手洗いカウンターにしたり、飾り棚の天板として使った
りと余すことなくすべて使い切りました。
生産現場に足を運び直接見に行くことで、そこでしか知り得ない情報が入ってきます。
アプローチの一角に置かれた手水鉢。
古びた手水鉢を探しているけど、どこか売っているところを教えてください~と聞いたところ
たまたま材木屋さんの敷地に転がっており、格安で譲っていただきました。
今では珍しく職人の手によって掘られた手堀りのもので、しかもいい感じに苔までついている♪
この古びた感じがお店の雰囲気にピッタリでした。