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古建築~光の反射を学ぶ~
先日、京都の『仁和寺(世界遺産)』に行ってきました。
メインの御殿は、くねくねと幾重にも曲がった渡り廊下が特徴的な造りとなっており、
曲がるたびに、「風景を切り取る窓」から違う景色が見え隠れし、上手いアプローチだなぁ~と
終始、感心しっぱなしでした。
同じ景色でも、見る角度を変えることによって、あれ、こんな風に見えるんだ!と新しい発見が
生まれます。
こちらも、一旦、庭の景色を見せてから(アイストップを作る)、縁側へと続くようなアプローチ
となっています。これって、住宅でも十分に応用できる考え方ですよね~。
そしてメインのお庭は、モダンなデザインのストライプ模様。
奥に「勅使門」が見えますが、ここの透かし彫りが、とっても美しい。
木彫りとは思えないほど繊細に作られており、まるでレースのように見えます!!
ちなみに、勅使門とは・・・
天皇の指示や意思を、天皇の代わりに伝える役目を持つ人(勅使)だけが通ることのできる
門のことです。
天皇は、基本的に外出しないため、天皇の代わりに意思を伝える「勅使」という仕事があり
ました。勅使は天皇の尊い意思を持ってくる人なので、天皇と同等に扱う必要があり、門も
一般市民が使う門とは別のものとなりました。
そのため、現在でも一般客は、この勅使門を通ることができない、というわけなのです。
さて、本題に入ります。。
下の写真の赤丸部分を、よ~く見てみてください・・・
影が下から上へと伸びているのが、わかりますでしょうか。
通常、太陽の光で影ができるのであれば、上から下へと影ができるはずなのですが、
この写真は、逆方向の影になっています。
そう!下から光が当たっているのです!
下からといっても、照明器具があるわけでもなく、なんと!
庭に敷詰められた白い石に、太陽の光が反射し、下からの光を生み出していたのです。
そして室内を覗いてみると・・・
天井面が明るく光っています!!
もちろんカメラのフラッシュは点灯していません。照明もありません。
自然光が反射・反射を繰り返し、室内の奥深くにある天井面を、明るく照らし出して
いたのです。
ちなみに、外からこの室内奥までは、ゆうに10m以上はあり、最初パッと見ただけ
では、どこから光が入ってきているのかがまったくわからず、なんでこんなに天井が
明るいのだろう?と、とても不思議に思いました。
白砂の反射って、想像以上に効果があるものなんですね。
それにしても、衝撃的な光景を目の当たりにしました。
あっ。衝撃ついでですが、入口付近にこれまたすごい松の木が生えていました。
地面を這うようにグングンと伸びており、ボリュームもスゴイ!
とても立派な松の木でした。
皆さんも、古建築を見る機会がありましたら、是非とも光の反射を確かめてみてくださいね~
昔の人の知恵がたくさんたくさん詰まっています◎