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構造梁を魅せる

最近、構造梁や垂木をそのまま内部に見せたデザインの家を、よく見かけるよう
になりました。私もそのうちの1人で、屋根の形そのままのダイナミックな架構
を見せた事例があります。

化粧垂木の厚みは少し細めに設定し、下から見たときに、重苦しくモサクならない
よう、どこか洗練された印象となるような寸法としています。
逆に高さ方向は、天井面に影をつけることを意識し、少し大きめの寸法です。
この高さ方向がないと、天井面全体に光が廻り込み、ノベーっとした重苦しい印象
となってしまいます。
深い影をつくることで、垂木の細いラインが一層際立ち、軽やかさも生まれます。

光が垂木の下面に当たることにより、連続した光のラインができ、結構キレイです。

と、デザイン的な話はこのぐらいにして、
この垂木をそのまま見せる仕上げで、最も注意しないといけないことが実は他にも
あるのです。

それは、雨の音!

普通に天井を作る場合、屋根と天井との間には空間がたくさんあり、そこに断熱材
を入れ、それが吸音材代わりとなるため、音は気になりません。
しかし、今回のような垂木あらわし仕上げの構造では、
天井に断熱材を入れるスペースがなく、何もしないと、屋根の上で人が暴れている
のでは?というぐらい、すさまじい雨音が家中に響くそうです。
(断熱材ナシというわけではなく、きちんと垂木の上に断熱材を入れているので、
暑さに関しては問題ないのすが、発泡スチロールのようなボード状のもののため、
吸音効果は期待できません)

ちょっと前に、現場監督さんに聞いたのですが、他の建築家が建てた家で、実際に
同じような構造をし、雨の音が騒々し過ぎる!というクレームが何軒も出ており、
とても対応に困っているそうです。
せっかくのマイホーム、これだと雨が降るたびに、憂鬱になりますよね・・・

企業秘密なので詳細は話せませんが、当事務所では、きちんと雨の音を消すような
対策を屋根全面に施しています。

最初は、半信半疑で、こんなもので本当に雨の音が気にならなくなるの?と
思っていたのですが、実際住んでおられるお施主さまに話を聞いたところ、
雨の音はまったく気になりません、という嬉しい結果報告をいただきました~♪

一手間加えて本当によかったと、ホッと胸を撫で下ろしました。

ちなみにこの話は、屋根が金属葺きの場合のみ起こり、瓦屋根だと何の問題
もないそうです。