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日本の伝統芸能である『能』を観に行ってきました。

これは本当にスゴイ!数ある舞台芸術の中でも、かなり異質な存在です。

東洋の神秘とでもいうのでしょうか…。この独特の雰囲気。

薄暗い不気味な静けさの中で、笛や太鼓の音色が舞台に鳴り響き、独特のリズムと

言い回しをもった謡とともに、能面をつけた人たちが静かに踊ります。

西欧の舞踏やバレエのような派手な動きはまったくなく、ほとんど動きがないといって

も過言ではありません。

その究極が、1時間半ほどある演能時間の中で、ほとんど何も言葉を発せず、ひたす

ら一点を見つめて座っているだけという登場人物。

しかし、そこには世阿弥が確立したという、深い深い意味があったのです!

その人がそこに存在している。ただそれだけ。

しかし、それが謡や笛の音色と重なり合って観客の想像力に働きかけ、現実を超えた

世界へと思いを巡らせることができるのです。観たままの世界だけではなく、想像した

世界までも楽しんでもらう、というところに世阿弥の求めた奥深い意味があったのです。

これは、登場人物が話す内容をまとめた書。

何やら経本みたいですが、演者はこの文章を一字一句間違うことなく読み上げていました。

挿絵もついていて、ちょっとカワイイ。

この世阿弥の世界観に触れてフト思ったのが、日本画にもやはり同じような世界観があると

いうことです。

西洋の絵画は、画面をすべて埋めつくすようにビッシリと細部まで描かれているのが常です。

が、日本画は、わざと余白を残して描いています。これは、その絵で完成という考えではなく、

見る人が、その余白の部分に想像の世界をつけたして、それで初めてその絵が完成するとい

う考えがあるからなのです。

そのものを超えたところにある何かを見つけて、それを楽しむことができるという感覚は、日本

人ならではの感性なのでしょうか。

日本人バンザイ^^