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唐津ー洋々閣へ
先日、佐賀県へ建築旅行へ行ってきました。お目当ては、唐津にある老舗旅館『洋々閣』
大正元年(1912年)に建造された建物で、建築家・柿沼守利氏が20年の歳月をかけ改修工事をしています。
柿沼さんが手掛ける空間は、本でしか見たことがなかったのですが、昔からとても尊敬する建築家の1人でして
空間に美しい陰影を造り出し、絶妙なプロポーションやバランス感覚で全体をデザインする建築家さんです。
玄関。入口はこじんまりとしています。
扉を開け中に入ると御影石張りのホールがあり、ワクワク感が高まります。
ホールから外を見る。
ここの床、真ん中が高く両サイドが低くなっているのが、わかりますでしょうか。
昔、人力車がここまで入ってきてお客様を送り迎えしたそうで、水を流して掃除ができるよう
床に勾配をつけているそうです。このサイズの石を美しく弧を描きながら勾配をつけるって、
じつはかなり難しいことでして、かなりの職人技が伺えます。
いよいよ内部へ。ここからが柿沼さんによるデザイン。
既存部分と違和感なく繋げているあたりはサスガ!伝統的な素材を使いながらも、障子や窓のプロポーションが
通常とはまったく違い、和風建築の横へ横へとのびるデザインをさらに強調しているようで、構造的な強度を保ち
ながら見た目の美しさ(細さ)も保っており、空間全体が柿沼ワールドに包まれていました。
真ん中にある八角形の柱は、上にいくにしたがって細くなっていくデザイン。小技がきいています~
天井には2本使いの竹を用い、アクセントに。これも粋なデザイン。
客室に入るまでの廊下。
お庭が見えたり、曲がるたびに天井や床のデザインが変わり、飽きないような
工夫が随所に散りばめられていました。
ここの廊下は瓦の四半敷。
暗いですが、ワクワクする暗さでして、否応にも期待感が高まります。
唐津焼のギャラリー。
どこを見ても細部にまで主張し過ぎないデザインが施されており、あ~柿沼さんだ~と感動しっぱなしでした。
客室はシンプルな構成。
障子やフスマは通常よりかなり幅広のサイズで作られており、和室特融の古臭さを感じずスッキリとモダンな印象を受けました。
吊り束(鴨居を吊るための柱)も美しいデザイン。
通常は真四角の柱をつけるのですが、それでは野暮ったく見えるため、多角形の木を2本使いにし
真ん中にスリットを設けていました。奥行方向にも角度がついており、かなり凝ったデザインでした。
そして床の間。
この微妙に弧を描いた大きな曲線が見事!部屋に入った瞬間、一際目をひきました。
そしてお部屋でとても美味しいお料理の数々をいただきました。本当にどれも絶品で、唸るぐらい美味しい。
器はすべて唐津焼。パッと見は地味に見えますが、料理が引き立って美しい~
影響されて、私も唐津焼と有田焼の器を購入しました。(食器集めが趣味です)
真ん中の丸い器が唐津焼でして、蛇蝎唐津(じゃかつからつ)というちょっと珍しい焼き方の器。
蛇やトカゲの肌に似ていることから、このような名前がついたそうです。
そして最後に、佐賀へ出向いたもう1つの理由がこれ ↓
呼子のイカーー!!これを食べてみたかったのです。
季節によってイカの種類が違うみたいですが、今の時期はアオリイカでした。
甘い甘い~。普段食べているイカとは比べ物にならないぐらいの美味しさで
お箸が止まりませんでした。
建築・趣味・食と大満足の旅となりました。