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東山魁夷の世界
『2010.9.16 山野草』のコラムで、ちらっと日本画家の東山魁夷さんについて
触れたので、彼の描く絵を解説した、とってもしびれる文章を掲載します。
マニアックなので興味のある方だけ、お読みください^^
彼の「色」は、反射光を捉えたものではなく、数え切れないほどの生命の存在を「影」
として捉え、それを無数に重ねて生まれてくるものである。
生きている木々の吐息を、風の匂いを、ひとつひとつ、つぶさに重ねてゆき、その画面
からはさざなみのように命の鼓動が伝わってくる。
多くの画家たちは、光の反射を捉えて描く。
魁夷のそれは、光を吸収したあとの物の「影」を感じ、描かれたものであろう。
静謐で繊細な四季折々の顔をもつ、小さな島国であるからこそ気がつくことのできる
自然界のささやかな生命の営み。
魁夷は、日本人ゆえに育むことのできた「影」を捉える目を持った画家だと思う。
古来、日本に存在した「かさね色目」。彼の色彩には、それに通ずる感覚がある。
そして、そのやさしい色合いの絵からはとても想像できないほど、芯の強さを備えた
人なのだ。本物の強さは、重なると優しさに変わる。
いや~~日本人で本当によかったと改めて思います。
影の存在を意識して絵を描くというところが、第一の惚れポイントですね~。
じつは、建築にも相通じるところがあるのです。
影になる部分が存在するからこそ、光の当たる明るい部分がドラマチックにいきてきます。
すべてが明るいという場所に、さらに明るい光が差し込んでも、なんとも思いません。
明暗があるからこそ、実際以上の奥行きや広がりが生まれたり、キレイな光だな~とシミジミ
想いにふけったり。。影が存在しなかったら、光のありがたさも分かっていなかったでしょうね。
さて、第二の惚れポイントは、本物の強さは、重なると優しさに変わるという表現です。
これは絵の解説での表現なのですが、またまた私の勝手な妄想で、自分のつくる建築観
さらには、自分の生きていく上での指針みたいに思え、かなり惚れました♪ポイント高いです。
強い意志を持って、力強い空間構成の建築を造っていくのですが、最後に出来上がると
ホンワカした優しい空間に仕上がっている。という感じ。
この優しい空間というのは、なかなか簡単には造れないものです。小さな小さな積み重ねが
最後になって全体の雰囲気を形造ります。なので、細かい納まりもおろそかにできません。
自分で言うのもあれですが、私は自分の造る空間が大好きです。(自己満足^^)
優しさに満ち溢れていると、いつも自画自賛しているのですが、あまり興味を示してくれない
工務店社長には、ハイハイと軽くあしらわれます。寂しいーー
私の大好きなナウシカ(宮崎駿作品)も、猛々しさと優しさを合わせもったカッコイイ女性です。
ナウシカになりたい、と本気で考えた時期もありました(笑)
『強さと優しさ』という言葉は、私の大好きな言葉です◎