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最近買った本

最近買った、ちょっとマニアックな本の紹介です。

なんと、大工道具の写真集~^^

といっても、そんじゃそこらの大工道具ではありません。

目を見張るような美しさ。

明治から昭和にかけて活躍した、千代鶴是秀(ちよづるこれひで)という

刃物道具鍛冶の作品集です。

ノミや鉋(かんな)などの大工道具を中心に作っており、その美しさ、

使い勝手のよさ、切れ味は、他に類を見ないほどの一級品。

世間からの評価をまったく気にすることなく、ひたすら鍛冶仕事に没頭する毎日。

先人たちのすばらしい作品を見つけだしては、店に持ち帰り、いつくしむかのよう

に錆を取り、研ぎを施すことを楽しみとしていました。

↑繰小刀三種(昭和22年 作)     ↑鮎型切出(昭和25年 作)

「平らなところはより平らに、丸いところはより丸く」が彼のモットー。

先人たちが築きあげてきた技術や知恵を熱心に学び、研究し、それをさらに昇華させ

このような美しい銘品の数々をコツコツと作りあげていったのです。

しかし、是秀が作った道具を、何の知識もなしに使うことは許されません。

例えば、勉強や修行を積んでいない人が気軽に、

「丸ノミを作っていただきたいのですが~」と店に行くと

「丸ノミとはどういうものですか?」と逆に質問を返されます。

そうすると依頼者は、丸ノミの刃幅、首や穂の長さ、肉廻し、肩のだれ方、コミの太さと長さ、

曲面の度合、マチの径など、製作上必要となる数値や特徴を話さなければいけません。

生半可な知識では、とてもとても話せる内容ではないのです。

そしてその特徴を話し終えると、ようやく是秀自身が理想としている丸ノミについての情報を

語ってくれるのです。

その内容は博識高く、依頼者自らの薄学を恥じねばならないほどです。

↑二寸鉋「比翼鉋」(昭和初期 作)

やはり、いい道具を何の知識もなしに使うということは、とても失礼なことなのですね。

道具に限らず、人生における教訓のように思い、身にしみる思いがしました。

さあ、勉強勉強。。