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~タイルの仮並べと建具のお話~丹波篠山ー古民家リフォーム
現在工事中の丹波篠山市-古民家リフォーム。
先日現場へ行き、タイルの仮並べをしてきました~

LDKに暖炉を置くのですが、そこの壁に張ります。
かなり色ムラが激しい素材なので、一旦、梱包を全部開けて床に並べ、1枚1枚お施主様と吟味しながら張る位置を決めました。
黒っぽく無地に近いものは床に張って、柄の激しいものは壁に。
結構重たいので、床に並べるだけでも一苦労。
汗ビッショリになりましたが、この感覚的な作業を怠って、適当にいい感じに張っておいて~と人任せにしてしまうと、後で必ず
後悔するため、こういった柄合わせはいつも慎重に吟味します。自己満足かもしれませんが、この一手間が最終的に仕上がりの差
となって現れてくるように思っています。
さて話は変わりますが、先日、建具屋さんが現場に寸法を測りにきていたので、雑談をしていたところ
現場敷地内にある蔵の扉、見た?という話になりました。えっ!?と思い聞いてみると、今では見かけない構造になっているとか。

これが噂の古い建具 ↑ 表側は特に変わった様子はありませんが、裏側を見てみると・・・

扉の下に何やら丸い円盤みたいなものがついています。何だコレ・・・

じつはこれ、昔の戸車で『あぜごま』というものだそうです。
えーーっ。こんなに大きな戸車!!しかも堂々と見えている・・・ビックリ。
現在の建具は敷居に溝が掘ってあり、凹んだ部分に扉が乗って滑っていきますが、
昔の建具はまったく逆の発想で造られているそうです。

先ほどの円盤状の戸車は、敷居の凸になった部分(この部分を「あぜ」と呼ぶそうです)の上をコロコロと走る仕組みに
なっており、凹んだ溝の部分には荷重がかかっておらず、ズレないようにガイド的な役割を果たしているだけだそうです。
戸車が凸部分を走るなんて、現在では到底考えられないような構造ですが、こんな仕組みがあったのだ~ととても勉強に
なりました。建具屋さんも、久しぶりにこの戸車を見たな~と嬉しそうに話してくれました。
こういった職人さんとのマニアック話はいつも面白く、建築って本当に奥が深いなぁ~と毎回思います。
世の中一般的には、既製品の建具を使うことが主流となっており、建具屋さんが寸法を測ってオーダーで扉を作るということは、
少し珍しい光景なのかもしれません。
私のイメージする空間では、『建具』はとても重要な役割を果たします。たかが扉と思いがちですが、既製品では到底できない
ような様々な形状を造り出すことができ、建築と一体になった仕上がりを実現することができるのです。
自分がイメージするまま自由に造れるというのはとても楽しいものですが、デザインだけでなく、その裏では、細かい納まりの検討、
金物の選定、仕上げ材の選択・・・等、考えることが山積みとなるのですが、これを考えるのが本当に楽しくて楽しくて^^
いつもニヤニヤしながら図面を描いております。
