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用の美シリーズⅢ 続-廊下
2月にブログを書いた用の美シリーズⅡ『廊下』の続編です。
廊下を単なる通り道と考えず、ワクワクするような仕掛けをプラスした事例をご紹介します。
まずはこちら。右側の壁一面、漆で染めた和紙を張り上下にガラスを入れ浮遊感を出した事例。
壁というより1枚の大きな絵画が飾ってあるというイメージで、かなりのインパクトがあります。
さらに奥へと進むと、今度は木で囲われた壁がLDKまで続きます。
この木の内部、じつは寝室になっていて入口扉も壁と同じ木を張り一体感を出しました。
廊下部分は天井高さを低くおさえ、リビングに入ると一気に解放的な空間へ。
この緩急つけた構成が、空間の面白さを引き出す裏ワザ。どこもすべて同じ高さ同じ大きさというのは
とても退屈な空間になりがちです。変化をつけると気分が変わり、同じ家でも広く感じるという効果も。
ちなみに天井が高い家で育つ子供は出世する、という話を聞いたことがあり、リビング廻りは天井を
高くとるよう心掛けています。
こちらは、廊下の奥に寝室がある事例
一旦、入口周辺の天井を低くし、巣穴(寝床)に入っていくようなイメージでデザインしました。
低い天井の真ん中あたりに引戸がついているのですが、普段は壁の中に収納されており、下にも
レールがないためスッキリ。廊下と寝室の境目を曖昧にし、一体の空間として見せることで狭い
スペースでも広がりが生まれます。
左壁にあけた光るスリットは、常夜灯。既製品のフットライトをつけただけでは味気ないなぁ~
と思い、壁を掘りこみ照明を入れました。
こちら寝室側から見た写真ですが
まさに巣穴から出ていく雰囲気(笑)
次の写真は、廊下の暗さを解消するため、リビング側の壁に大きな障子窓を取り付けた事例。
光の反射でかなり明るい印象の廊下が実現しました。左側の壁の裏は洗面所になっているですが、
こちらにも光を入れようと壁の上部をガラスにしました。ガラス取付は、枠を回さず壁と天井に
掘りこみを入れただけのシンプルな納まりとしたため、余計な線が見えずスッキリとした印象に。
障子窓をリビング側から見た写真がこちら。
窓といえば外に面して取り付けるイメージですが、室内につけることで風通しがよくなったり
明るさを確保できたりと、その実用性は抜群です。まさに用の美ですね!
そして最後は、障子で挟まれた廊下。
正面奥にはシンク+ミニ冷蔵庫が納まっています。
障子を開けると2つの部屋が一体に。
障子は壁の中に収納できるよう考えたため、邪魔にならずスッキリ。
洋室側の障子だけ閉めると
廊下というより和室の延長=縁側的なスペースとして使うことができます。部屋が広がった気分♪
和室側だけ閉めるとこのような雰囲気。洋室が広がる♪
障子を開け閉めするだけで『廊下』というスペースが様々にその形態を変えていきます。
2階には、この2部屋しかない小さな住宅だったため、いかにスペースを有効活用し広く見せる
ことができるか、ということに心血を注いだ案件でした。小さな小さな廊下でも、考え方1つで
その使われ方は無限大∞あっ!と驚くような仕掛け作りが大好きです。