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曳家岡本さんの仕事

皆さま、曳家(ひきや)って、ご存知でしょうか?
TVなどで1度はご覧になれた方もいらっしゃると思いますが、建物をそのままの状態で引っ張って移動させる工法です。

先日、奈良の東大寺近くにあるお茶室を引っ張るということで、見学に行ってきました!

元々、ここの空いたスペースに築200年のお茶室が建っていたのですが、地盤が悪く、建物が傾き始めたため、
一旦横に移動し、緩んだ地盤を補強。そして、また元の位置に戻すという作業内容。
昔の建物なので、もちろん基礎などなく、石の上に柱が立っているだけという簡素なもの。
その建物の下を掘って、鉄骨を組み、それから少しずつ持ち上げ、引っ張り始めます。

これが地味に大変らしいです。
引っ張って移動した建物がこちら。

構造補強も合わせてするということで、壁や天井は取り払われ、柱と梁だけの状態となっていました。
建物の中に枕木を井桁に組み、その上に鉄骨を渡し、これで梁を支えます。

こうすることで、屋根の重みを分散させ、柱に荷重がかからないようにし、柱をブランブラン状態にさせてから
傾いた柱を補正するのだそうです。
建物の中は、枕木がビッシリ。足元にもビッシリ。

美しいですね~~こんな光景、なかなか見られないそうで
自称『日本一ジャッキと枕木を大量に使う曳家』と言っておられました(笑)
これらを大量に使うことは、手間がとてつもなくかかり、大変なことらしいのですが、
建物を傷めずに持ち上げることができるため、いつも大量に使うのだそうです。

社長さんは、とてもパワフルで熱い想いを持って仕事をされており、職人さんってやっぱりカッコイイなぁ~と改めて思いました。
何より建物のことを1番に考えておられ、優しさに満ち溢れていました。

いい仕事を見学でき、貴重な体験となった1日でした。

written by 傳寶慶子建築研究所 http://dmpdmp2007.com/