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敬愛する建築家

昨日、私が学生時代から敬愛し続けている建築家「齋藤裕」さんの講演会に行ってきました。
御年70歳になりますが、いままでの建築人生50年はまったくの序章に過ぎず、
これからが本番!と言っておられ、活き活きとしておられました。
実例の1つ↓中庭のある住宅です。おおよそ住宅とは思えないような、完成度の高い濃密な空間です。

学生時代、私はこの住宅を見て大衝撃を受け、そして一瞬にして一目惚れ。
その魅力にどんどんと惹きこまれていきました。建築に恋した瞬間です(笑)
そして、ここから私の建築人生がスタート。本当に原点となる出会いでした。

「明る過ぎる空間にいると人間はバカになる」との言葉通り、齋藤さんの造る建築は、
どれも少し暗めの設定なのですが、ただ単に暗いというわけではなく、計算しつくされ
た美しい光が室内に入りこみ、感動的な空間を造りあげています。
「バカになる」とは、少し表現がキツイように思いますが、この言葉には、私も思い当
たる節があり、妙に納得しました。

燦々と光が降り注ぐ、明る過ぎる部屋では、本を読んでもちっとも頭に入ってこない、
というのは身をもって体験しており、じっくりゆっくりと考え事をするには、少し暗め
の光の方が、集中できます。
うちの事務所も、「事務所」としては、照度が暗い方だとは思いますが、白々とした蛍
光灯の光の下では、創作意欲がまったくわかないことは、明白です。

妥協を一切許さない、という一貫した姿勢を貫き通し、本当に神がかり的な存在である
齋藤裕 氏。設計期間5年以上は当たり前。設計者自らが、山に入り、木を選び、製材
するところから始まり、住宅1軒建てるために、山を1つ購入したこともあるそうです。
かなり特殊な建築家さんではありますが、学ぶべきことはとても多く、とてもよい刺激
を受けました。
私もこれを機にもう一度原点に戻り、色々なことを見つめ直していこうと思います。