3.重みのある空間

さて、重みのある空間とは一体どのようなものなのでしょうか。

まず、シンプルで全体的な骨組(プラン)がしっかりとしていること。どっしりとした器を構成することから始まります。

一時的なデザインや思考に流されるのではなく、不変的な美しさの追求。つまり、デザインを超えてなお、その先

に存在し続けるものの追求。では、デザインの先に存在するものとは一体…。

それは、材料そのものがもつ美しさであり、時が経つにつれものが朽ちていく美しさなのです。これは、どんなに

時が経とうとも、時代を貫いて存在し得るような価値(変わらない美しさ)があるからこそ。

その結果、自然とシンプルな構成、余分なものがそぎ落とされた空間へとなっていきます。

すなわち、素直で純粋な建築へ。

これみよがしに、ここは居心地がいいですよと主張してくるような空間ではなく、ふと気づいたら、さりげない配慮

がしてあったとか、当たり前のように使っていたけれど、よく見たらこんな工夫がしてあったなど、空間を形作る器

は、そういうさりげない感じでいいのです。それでいて、押さえるべきポイントはしっかりと押さえる。これが重要。

つまり押さえるべきポイントとは、器の中身である『空間』の重心をとらえることなのです。

とは云っても、空間の重心は直接目に見えないため、感じてもらうしかありません。しかし、重心を低くとることで、

安定感と落ち着きのある空間が生まれ、端正な気品の高い濃密な空間へと昇華していきます。

そしてジワジワとあふれてくる、空間のエネルギーをも感じることができるのです。

静かに流れていく時間のなかで、ゆったりとした包容感のある空間に身を置き、時の移ろいや四季の変化を身近

に感じながら生活をする。外の世界では味わうことのできない、自分だけの世界。なんとも幸せなひとときです。

そして、このゆったりとした空間で、静かに自分と向き合う時間をつくる。こういう時間をつくることは、現代の社会

にあってはとても重要なことではないでしょうか。いい空間に身を置いていると心が豊かになり、自分自身の気持

ちをも変えていく力が溢れてきます。

住むための器というだけの家造りを目指しているのではありません。

そんな建前だけの表層的な器は必要ないのです。それを一歩超えたところにある建築。

五感にうったえかけてくるような、心ありきの建築を目指しています。